『皆殺しの天使』は今

『皆殺しの天使』「NEW」や「新」とつくものが本当の意味で新しいことなどないし、それ同様「皆殺し」とつくものが本当に皆殺しであったことなどないんじゃないかなんて思ったりします。笑 もっと良いタイトルがあると思うんですけどね。『出れねえだよ』と…

『運命は踊る』ペニスを振り回して。

『運命は踊る』フォックストロットは決められたステップを踏めばどのような動きをしても元の場所に戻ってくる。これを運命にはめ込んだのがこの『運命は踊る』である。気持ちよすぎるアングルと物語の構成は決められたステップに倣ってあり、どんなに暴れて…

『半分、青い』が愛は惜しみなく奪う

『半分、青い』物語上の死に魅了された(殆ど取り憑かれていた)魔女のごとき北川悦吏子が参考にしたのは、誰も死なない『あまちゃん』だったことにも明らかだが、このあえて逆をいく手法で幸せになった人は視聴者にいないだろう。笑『あまちゃん』のように小…

『さんまの「俺は裸だ」』ミスリードとオーバーアクションによる裸のランチ

『さんまの「俺は裸だ」』明石家さんまが(足の速い、よく駆け回る男として)走るシーンが『太陽にほえろ』のジーパン刑事のごとく描かれるが実際に速く見えるのは、明石家さんまがいま現在走らない(走る姿を見せない)からというのもあるだろうが(笑)、やはり…

『暗殺のオペラ』どうにかしている街ではどうにかしていることになれてしまう

『暗殺のオペラ』「まず…」構図に見惚れているとストーリーを見失うが大丈夫。最後だけ見てもわかるから。笑 「構図ぁ…」ドリーしていくとピッタリ石像に歩く主人公が隠れるってヤバいでしょう。やべえなあ、やべえなあって思っているとだいぶんストーリーが…

『愛しのアイリーン』のモザイク考

『愛しのアイリーン』誰も救えない声が聞こえる。それ自体が救いじゃないか。決してハッピーエンドではないが、登場人物は最終的に救いを得ている。この劇(的なるもの)からの退場は死ではない。表面上は死なのだが、実際に退場しているのは救われなかった者…

『大虐殺』寝ても覚めても観たらそうでも

『大虐殺』関東大震災直後と虐殺(軍人やべえなあと思わざるをえない描写ばかり)を丹念に描き、大杉栄が見せ場なく死に、中濱鉄と古田大次郎が混ざった役を天知茂(役はどうあれ、くそかっこいい)が演じ、『菊とギロチン』が参照してるであろうシーンが多々あ…

『最後まで行く』が足りない

『最後まで行く』「あーあ」と「まじかよ」しかない映画に、それ以上の言葉がいるだろうか。笑 脚本やトリックの破綻でさえ、この二言で済ませてしまえるのにめちゃくちゃ面白いのは、韓国映画特有の力技だろう。映画にはそれぞれの国のステレオタイプという…

『合葬』英詞に導かれる武士の貞操

Tumblr上の日記『オン・ザ・忘れるなよ』から2018年6月10日を。『合葬』幕末武士の青春モノに弱い俺は、この映画に人を斬るシーンがほぼないこと(有ってもそれは木刀での稽古や喧嘩)に驚き、しかしそれは白虎隊など散ってゆく隊士を題材にする際にありがちな…

世界一美しいゲロと性器のような動物『アレックス・ストレンジラブ』

アレックス・ストレンジラブというタイトルでアレックス・トゥルーラブが主人公って時点でこの映画のヤバさが伝わるはずだ。笑 人間のペニスにそっくりな見た目を持つ動物が好きなトゥルーラブには、彼女がいる。しかし気になる男の子がいる。さて、俺はどっ…

『私立探偵濱マイク 我が人生最悪の時』は今だからさあ、かんべんしてよもう

『私立探偵濱マイク 我が人生最悪の時』探偵モノは大抵牧歌的な時代に生まれて、消費されずにオールディーズになる。という稀有なジャンルである。この映画などまさしくそうで、時代錯誤を躁病的に乗り切るという、間に合わなかったことを気合いで埋める男「…

ボケかけたジジイの可愛さをウリにしたい『ラッキー』と抗うジジイ

いやー。夜通し遊んで『ハンソロ』を観てブチ上がったまま『ラッキー』観に行ったら5分で寝ました。笑 ハリー・ディーン・スタントンが歩いているところまでは覚えているのですが、そこからの記憶はあやふやで、ところどころ思い出して書こうと思ったんです…

ハンソロのシーザーに万歳(俺のようなSW初心者のアンタのために)

『ハン・ソロ』SWは『最後のジェダイ』しか観ていないし予習もしていないため、ハンソロもチューバッカ(前作では動かないぬいぐるみが出演していたくらいにしか)も何者か分からないまま見始めた男(素潜り旬)は、ジジくせえハリソンフォードよりも『ヘイル・…

『菊とギロチン』で踊り狂え

人間が踊り狂うのを見るのが好きだが、そんな場面に出くわすことなど、そうない。クラブでトランス状態に入った奴を屋内で見たことがないし(ヤバイ奴はだいたい外で音漏れを聴きながらイかれてる)、俺が見たのは野外レイヴパーティーだし。周りの景色がほと…

映画的殺しの新境地『ビューティフル・デイ』

『ビューティフル・デイ』原題は『You Were Never Really Here 』だが日本や他国では『ビューティフル・デイ』と名付けられている。映画を広めるために英語を英語で直すのは、気持ち悪いことだと思う。「この邦題をつけた人は神」だとか色々な意見があったが…

『長江 愛の詩』なぜ詩でおまえを語るのか

『長江 愛の詩』「詩以外は全て良い」長江を舞台にしたこの映画の主人公は、手に負えないほどの自然があるのに、書くのは自分のことばかり。現代の詩を書く人(今回の場合は監督)はなぜみんなこうなのかが不思議でならない。みんな自分のことばかり。自分のそ…

ハイタッチしないこと『レディプレイヤーワン』

ハイタッチは喜びを確認し合うことの表面化である。「俺は今のすっごいよかったよ!おまえも?」「うん!」これをアクションで示すのがハイタッチである。実際の感情が見えないこと、見せないことがバーチャル世界の良さなのに、それをいちいち確認してしま…

ふたりでタンゴを踊るなら単語なんていらない『ブエノスアイレス』

『ブエノスアイレス』「やり直す」とは、何をやり直すのか。わからないまま言っているふたりは、何もやり直すこともないまま、新しく始まることもないまま、旅立ったり、同じ場所にいたりする。ひとりは新しい出会いを断ち切ってまでも過去を引きずり、ひと…

『花様年華』は夢二の匂いの夢で逢えたら

『花様年華』一線を越えたかどうかを明らかにしない。ただ花のように匂わせるだけ。花は魅せることによって単純な美しさを表現することが簡単に出来るが、匂わせることは感じさせることである。花の良さは見ただけでもわかるが、匂いを感じることで味わいが…

さよならの向こう側にある美しさと、いじらしさ『欲望の翼』

『欲望の翼』物語から1度退場する時に、捨て台詞を吐いていく登場人物たちは総じて去り際が無様で。無様であることを意識させ、物語を美しくあらんとする意思を持たせている。誰に?登場人物にである。入れ替わり立ち替わる90年代スタイルは、DJ文化の興隆に…

痛みによって、ひたすらに観衆を乗せない『蒲田行進曲』

痛みによって、ひたすらに観衆を乗せない『蒲田行進曲』深作のリズム感悪さは、徹底的に登場人物を這わすことによって、セリフの抑揚を強調させるに至り、それが大味な演技と絶妙に合っている。この映画には印象に残る二曲の音楽が流れるが、一曲は萩原健一…

半魚人と耳が聴こえない女性の可憐なミュージカル『シェイプ・オブ・ウォーター』

『シェイプ・オブ・ウォーター』「半魚人と耳が聴こえない女性による可憐なミュージカル」と俺は考えるのだが、ど直球のミュージカルシーンは置いといて、どこがこの映画をミュージカルたらしめるのか、を論じていこうと思う。ちなみに元ネタになった映画や…

建築よりジャズやんか『ミース・ファン・デル・ローエ』

『ミース・ファン・デル・ローエ』建築家ミース・ファン・デル・ローエのドキュメンタリーなのだが、彼はそれほど登場せず、肉声はほとんど聞くことが出来ない。何が聞けるのか。ramachandra borcar の音楽である。この音楽、彼のオリジナルスコアのジャズに…

曝け出すことによって、隠している『デヴィッド・リンチ アートライフ』

『デヴィッド・リンチ アートライフ』リンチはこの映画で、本音というよりかは無意識的に作品のミスリードを誘っている。あからさまなドメスティックに、自身の過去の体験に答えが隠されているとでもいうかのように語り、監督によって編集され、観た者によっ…

『BG〜身辺警護人』は『セーラー服と機関銃』なのか。それとも『太陽にほえろ』なのか

集合写真が静止画で出た瞬間に気付いた人も多いと思う。「セーラー服と機関銃や…」これからBGが各話で1人ずつ死んでいく。なんでこんなにキムタクと江口の対比を描くのかと思っていたし、まだ民間である事の弱さが一切描かれていないこともある。全ては最終…

Kをめぐるとある仮説『ブレードランナー2049』

2017年10月24-28日の日記から抜粋。加筆修正なし。勢いそのまま。『ブレードランナー 2049』前作に心酔している人や、前作が好きな映画評論家の意見を信仰している人は受け入れられない内容だろう。今年何回も言うが、今年公開された映画で一番良かったと鑑…

大事な時に限ってファスナーは『男性の好きなスポーツ』

「発掘しました」2017年7月18日に書いたブログから映画について書いている部分をそのまま貼ります。勢いそのまま。『男性の好きなスポーツ』録画していた『男性の好きなスポーツ』(未ソフト化)を観る。ハワードホークスマニアの間では伝説の作品で「ドンジュ…

『マン・オン・ザ・ムーン』『ジム&アンディ』俺は他人である

『マン・オン・ザ・ムーン』『ジム&アンディ』「ことの連弾によるリズムを持っているから」自分を定義することで他人になれるのは、他人でいることに慣れることであり、自分に似ている部分を他人に感じることで他人では無くすというよりも、自分以外を他人と…

『月夜釜合戦』から読み解く詩と音楽

『月夜釜合戦』「ある場面で」突然踊り出すこと、歌い出すことに何の違和感があろうか。俺たちだって、時々歌ったり踊ったりするじゃないか。そして、それは突然だったりしないか?するだろう。「あいつハナウタばっかり歌ってんじゃねえか」「急にモノマネ…

アメリカ本オヤジと動物型の秘宝『スリービルボード』

『スリービルボード』映画を観た後、これは答えを知りたがる人が続出だろうなと思ったが、案の定そうで、そうなればそういう人々はまずパンフレットを読む。考えず答えのみを知りたがり満足する人々は一定数いる。そして、答えを言いたくて仕方がなくなるの…