ハイタッチしないこと『レディプレイヤーワン』

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ハイタッチは喜びを確認し合うことの表面化である。「俺は今のすっごいよかったよ!おまえも?」「うん!」
これをアクションで示すのがハイタッチである。実際の感情が見えないこと、見せないことがバーチャル世界の良さなのに、それをいちいち確認してしまう。それが主人公の甘さである。しかし、ハイタッチに応じないことも、感情を見せてしまっている。実はこの主人公、やり手である。現実と非現実の見境がないように見せておいて、理解している。相手の感情を知る手がかりは、その相手が関わるものすべてにあることを。そして、彼はさらに分かっている。感情なんて不確かなものは見様によって変わることを。


不確かなものを確かにするには、確かだと思い込むことだ。確かなものが実際に確かだなんて学者にしかわからない。しかし学者にわからないことがわかることだって生きていればたくさんある。どうしてか。そうだとわかるから。経験から?感覚から?計算して?思い込む。


「もしかしてこれって!」
そう、レディプレイヤーワンの世界である。思い込んだことは実現する世界「オウェイシス」でハイタッチできると思い込むことが成功の鍵であった。