2019-01-01から1年間の記事一覧
最初から山場のプロポーズまで、ひたすらシンメトリーで攻めている。というのも若尾文子の可愛さや茶目っ気、コメディとベタなラブストーリーをシンメトリーで描くことによって際立てており、お陰でカメラワークは固定からの上下左右に動くという獣的な身体…
『サウダーヂ』俺たちが俺たちであること、俺たちが、個々の俺でしかないこと、そして俺たちの間には、思考に隔たりがあるように誰一人として思考が繋がっていないように、隔たりがある。この隔たりは、考えずともわかるほど、当たり前な隔たりであり、だか…
『赤い鳥逃げた』俺のけつの穴まで逆再生されたら、それこそ朝、困るじゃないか。原田芳雄がおどけて振る舞えば振る舞うほど、逆再生は繰り返される、執拗に。俺たちは前へすら進めないのだろうか。いや、進んでいるさ。それこそダサい、破滅に近いところま…
『THE SISTERS BROTHERS』「暴力的な前口上」この映画をゴールデン・リバーと訳すのは危うい感性してんな(可愛い犬の尻だけひたすらに舐める系かな)って思うけれど、そんなこと別にどうでもよくなるくらいの俊作。ゴールデンリバーなんてほんの些細なことじ…
ディザスター・アーティスト俺たちが把握することには、限りがあり、際限なく面白さを分かち合うこと、面白さに意味を持たせることを共有すること、なんてできないのだろう。意図したところ笑わせるだなんてコメディ以外もってのほか。意図しないところで笑…
自分たちが語るために誰かに語らせることは、自己主張において大切である。不遇な子どもたちの体内は自己主張で充ち満ちており、溢れんばかりの音楽によってそれは発散される。そしてその自己主張は死によって(ある意味で)邁進し、生がストップをかける。こ…
『タイタニック』気が済むまで振り帰ろう。語り部が生きているのだから。初めから結末が見えているのに、ドキドキしてしまうのは、レオナルド・ディカプリオに萌えているからだろう。冷静になった時、この燃ゆる頬はレオナルド・ディカプリオに、ぶたれたか…
解放を宣言する場合に、俺たちに必要なのは音に合わせることであり、それはミッキーマウシングでも構わない。同調するのは周りにではなく、音楽に。であり、ひとりで行うことではない。すべてを構築し島をを完成させたドナルド・グローヴァーが産み落とした…
人間が飯を食うときに、肉片としてでなく、動物として認識してしまう場合に、食べられなくなる、という現象があったりなかったりだが、俺の場合のうさぎがそうだった。ヨゼフ・ボイスのベストが頭によぎってしまう。緑の党が、島のようにガラパコスしていて…
『グリーンブック』と『ビールストリートの恋人たち』私たちが祈っているのは言葉が足りないから、伝えようとしている何割かは何処か遠くへ飛んでいってしまう。だからこそ飛ばさないようにするのが誠実な人で、飛んでいった言葉を匂わせるのがユーモアのあ…
『ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯』居る者すべてに必要な存在が死んだ時に表出する喪失は、誰にも癒すことはできない。時間だけが解決してくれる、何が誰が正しいのか、答えは風だけ知っている、ああ、何でこんなかしこまった使い古された言葉ばかりが出てく…
『続・荒野の用心棒 ジャンゴ』西部劇は赤色が好きっていうかリマスターが赤を強調し過ぎなんじゃないか、ということに気づいてしまった。笑 赤って便利だなあ、空と合わせるだけで映えるし。俺がもしアイフォーンを持った用心棒で、インスタ映えを狙うなら…
『荒野のストレンジャー』西部劇は赤が好きなことはだんだんわかってきた。笑 「これは血ではない。赤色だ」というゴダール的な感性に対して、赤は血の色だから良いんじゃないかというマカロニ的な感性で街を赤く塗りたくるイーストウッドの方が俺はかっこい…
『ドニー・ダーコ』タイムトラベルの魅力に取り憑かれる人が一定多数いることは、バックトゥザフューチャーがいつまでもカルト化していて、マイケルJフォックスがここ日本では歳をとらないことにも明らかだが、ドニー・ダーコはもう1人の自分にも取り憑かれ…
『Mishima: A Life In Four Chapters』フラッシュバックによる場面転換と組み立てられた場所で演じることに対して加速度的に観客は意識し、三島由紀夫の小説と三島由紀夫が同時に映像化されているために起こるズレが芸術だという一点責めの態度で映画は在る…
『DOWNTOWN 81』珍しいバスキアの主演映画DVDをメルカリで逐一チェックし、安価で購入した時から俺の未来は決まっていた。娘はバスキアと邂逅し、俺は新たな武器を手に入れた。フィクションがフィクションに見えないのは、バスキアが普段からバスキアを演じ…
『ファーストマン』ビリー・ザ・キッドは言った。「デブは月面着陸の時でさえポップコーンを食べる」俺は今日、目撃した。おかしくて笑ってしまった。が、月にいる間のIMAX無音状態でも図太く食い続けていた奴を、イーストウッドばりの早撃ちで仕留めた。三…
『会社物語』クレイジーキャッツ全員集合映画という安牌を市川準はバグらせて撮っている。笑 最後のクレイジーキャッツ全員集合だから、全員が歳でバグっていったのを市川準がまとめたのかもしれない。なぜならだんだんハナ肇が石原裕次郎に見えてきたという…
『バスキア 10代最後の時』元カノの力、恐るべし。独占欲も天才相手だと、果たして自分だけのコレクションにしていて良いのかという疑問を生む。そのおかげでこの映画が生まれたと俺は予想する。笑 競馬かよ。バスキアがアメフトのヘルメットを被ったポスト…
『まぼろしの市街戦』ケツでオトして良いんだって気付いた時、戦争をユーモアで吹き飛ばすという行為自体が馬鹿馬鹿しく思えてきた俺は、劇場でこっそり裸になっていたような気がする。こうして主人公と近づいた時に、精神ってものは案外モロいんだってわか…
『荒野の用心棒』女を逃がし、その旦那と子供から微妙な顔をされて、俺は物語を進行させるために少なくともお前らは助けてやったんだって空気を出しているクリント・イーストウッドを観れただけで、俺は感動していた。語らないことが男のあるべき姿ってわけ…
サスペリアはオリジナルの方が良いって言っているジジイは無秩序なファーストインパクトの連続に欲情し続けているせいで、ルカ版の美しさに気付けていないだけなんだろうなって思っている。サスペリアマガジンを読んでも明らかで。笑 あ、この人たちはずっと…